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分かっているようで分からない
歴史の中の不思議 モンテスパン夫人は本当に媚薬と毒薬で宮廷を操ったの?
by June Adams
August 19, 2003
モンテスパン侯爵夫人―媚薬と毒薬で宮廷を自在に操った美女
ルイーズは王に純愛をささげる慎ましい女だったのです。モンテスパン侯爵夫人は 堂々たるグラマーで、野心満々の美女でした。どんな手管を弄しても、王を自分のものに しようと固く決意していたのでした。 そこでモンテスパン夫人が通いつめたのは、当時評判の毒薬使いとして知る人ぞ知るラ・ヴォワザン のところだったのです。ルイーズを毒殺し、自分がとってかわろうとしたわけです。 モンテスパン夫人には、次のような信じがたい逸話が伝わっています。自分が祭壇がわりになって、神を冒涜する黒ミサまでやってのけたというのです。 モンテスパン夫人は一糸まとわぬ姿になって、黒い布におおわれた祭壇に横たわりました。ミサを つかさどる司祭は赤ん坊を彼女の上にかざし、呪文をとなえながらその赤ん坊の首 にナイフを突きさしたのです。血がほとばしって彼女の白い肌にしたたり落ちるあいだ、夫 人は性的快感に身を震わせたと言うのです。 聖杯の上で、赤ん坊はすっかり血がなくなるまでしぼりとられ、司祭の助手がその 腹を切りさいて内臓を取り出します。赤ん坊の血の入った聖杯をわたされた夫人は、そ れを一気に飲みほしたのでした。 本当にこのようなことが行われたのでしょうか?残念ながら、今となっては確証がありません。 モンテスパン夫人が実際にこのような黒ミサに関係したのかどうかを別にすると、同じようなことは確かに行われていたようです。 モンテスパン夫人があまりに太陽王ルイに近づきすぎたために、回りの女性から嫉妬と憎しみの目でみられ、このような逸話が仕立て上げられたのかもしれません。 いずれにしろ、遂に王を自分のものにしたモンテスパン夫人でしたが、間も無く 王は彼女に飽きて浮気をはじめ、夫人は今度はライバル共々王まで亡き者にしよう と、またラ・ヴォワザンに相談したのです。 毒薬をぬった嘆願書を王に送りつける方法を教えられましたが、実現する前に警察が動 きだし、ラ・ヴォワザンは逮捕され、モンテスパン夫人もついに、宮廷から追放され てしまいました。これが太陽王時代の、世紀の毒殺事件の概要です。 「策を弄する者、策に滅ぶ」、あるいは「術を弄する者、術に滅ぶ」、というような諺か故事が、中国か日本にあったように思います。 モンテスパン夫人は媚薬と毒薬で宮廷を操ろうとしたかも知れません。しかし、いつまでも続くものでもありません。 元々、そのようなことを考えること自体に無理がありました。
黒ミサ
中世の夜宴(サパト)は、古代のバッカス祭の復活のような形で、もっぱら田舎の野外で行われていたのですが、 近代には、それが都市の教会内部に侵入し、黒ミサという名で呼ばれるようになりました。 このバッカス祭は古代日本へ伝わっていた可能性もあります。詳しいことはこのページ (飛鳥坐【あすかざ】神社の神事と古代ギリシャのディオニソス神話) を見てください。 貧しい民衆の開放的なお祭騒ぎが、時代とともに、だんだんと秘密めいてゆき、陰惨な、密室犯罪的な形に変化して行ったのです。 こうして近代の黒ミサは、民衆には縁遠い、頽廃的な、貴族の専有物となりました。言葉を変えれば、キリスト教の権威が次第に各階層にひろまるにつれて、 悪魔が民衆を集めて、悪魔自身のお祭をする余地がなくなり、教会内部へ逃げこんだというわけなのです。 黒ミサとは、つまり、悪魔がキリストの権威を借り、 教会の武器を逆用し、神聖なミサを汚すことによって、何とかして自分の力を認めさせようとする、苦しまぎれの反抗の形式だと考えられたわけです。 したがって、黒ミサを執行する司祭は、もっぱら悪魔と取引をむすんだキリスト教の破戒僧でした。悪魔はついにキリスト教にとって、獅子身中の虫となったのです。 黒ミサの起源は、一般に中世フランスの南部にひろまり、十二世紀の終りごろ法王グレゴリオ九世の命によって抹殺された、 キリスト教異端アルビ派から出ていると言われています。しかし、このアルピ派がどの程度、実際に悪魔礼拝にふけっていたかについては、たしかな証拠はありません。 ある研究者によると、アルビ派とは、善悪二元論を信じるゾロアスター教の頽廃した形だそうです。しかし、この一派は、 一名純潔派といわれている通り、きわめて厳格な戒律をもった、禁欲的な集団だったことも事実のようです。 また、キリストの化肉や十字架の象徴を認めないグノーシス的なテンプル(聖堂)騎士団の流れも、古くから両性神バフォメットを崇拝し、 黒ミサ的な秘儀を行っていたと信じられています。
モンテスパン夫人が体験した淫靡な黒ミサとは。。。 すでに裸になっていたモンテスパン夫人は、このとき、一躍りで、柩の上にかける黒い布に覆われた、粗末なクッションの上に、昂然と横たわりました。
枕に支えられた頭がのけぞり、両脚がのび、腹が肉の小丘のように盛りあがり、乳房よりも高くなっています。黒い仮面の孔から、きらきら輝く彼女の眼が、
じっとギブール司祭を見つめています。それからおもむろに言いました。「どうしたの、ギブールさん」
司祭のゆがんだ唇が、ふるえるモンテスパン夫人の肉の祭壇に接吻します。祝聖の時が近づくと、ドアが開いて、司祭の手足となって働く娘が入ってきました。
両腕のあいだに、もぞもぞ動く荷物をひとつ抱えています。
。。。というようなお話が伝わっています。しかし、信じるか否かはあなた次第です。
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