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バンコクの
ファンタジー by デンマン & 卑弥子
2008年2月8
エマニエル夫人
あらすじ
秋の日のある朝。パリのアパルトマンの一室で眼を覚ましたエマニエル(シルビア・クリステル)は薄いガウンを羽織ったまま寝室からキッチンへ降りる。 ある日の昼下がり、バンコクの庭園でパーティが催される。
ロッカールームでのエマニエルとマリー(右) マリー・ルイズ(ジャンヌ・コレティン)は、カモシカのような肢体を持つ奔放な少女で、彼女はパーティのあとエマニエルの屋敷を訪ねてくる。 アリアンヌ夫人(クリスティーヌ・ボワソン)は性的に充たされない有閉マダムでレズ趣味がある。 さらにエマニエルは老紳士マリオ(アラン・キュニー)とめぐり逢う。
“文明人の性というのは複数セックスでなければならない。 これが彼の性哲学です。
ある一夜、エマニエルはマリオとデートすることになります。 レビュー by デンマン
『エマニエル夫人』は間違いなく1970年代を象徴する画期的な映画ですよね。 また、この映画の主題歌が有名になりましたよね。 1970年代には「まったり」と言う言葉は全国的には知られていなかったけれど、正に、愛人同士が“まったり”と愛撫し合っているような、どことなく物憂い、甘ったるい、ちょっぴり退廃的なモノを感じさせるメロディーですよね。 『エマニエル夫人』は、現在でもソフトコアな官能映画の代表作として色あせない魅力があります。 夫を愛し貞淑な夫人として処女のように性に対して潔癖なエマニエル夫人。
一流ファッション誌から抜け出てきたような女優の美しさ。 まだ『エマニエル夫人』を見たことがない人は次のYouTubeの動画を見てください。 by デンマン
デンマンさんに尋ねてみようと思いました。
昔、エマニエル夫人の映画で、すごく年の離れてる男性と
誰かに聞いてみようとずーっと・・。 小百合より
今日も、デンマンさんはエマニエル夫人の事を書くのでござ~♪~ますわね?
うしししし。。。いけませんか?小百合さんは書いていますよね。“この言葉は意味がいろいろとれるのです” と。。。 ええ。。。そう書いていますわ。 実際、エマニエル夫人の言った言葉は、いろいろに解釈できますよ。 でも、おとといデンマンさんは次のように書いていましたわ。
私はあなたによって 実にいろいろな経験をさせてもらいました。 あなたにお会いした頃の私は「未熟な女」でしたが、 今の私はいかがでしょうか? 私はあなたの哲学を充分に理解して、 魅力的で妖艶な「熟女」になったでしょうか? これが正解なのでござ~♪~ますでしょう? 上の「あらすじ」を読めば、このように解釈するのが最もふさわしいと僕は思ったのですよ。 これ以外にも解釈の仕方があるのでござ~♪~ますか? もちろんですよ。おそらく『エマニエル夫人』を観た人によって、それぞれ、さまざまな解釈の仕方ができると思いますよ。これだ!という正解は無いでしょうね。 そう言うものなのでござ~♪~ますか? そうですよ。ところでねぇ、ついさっき小百合さんからメールをもらったのですよ。この記事とも関係があるのでここに書きますね。
Subj:2月8日 たまには音楽 Date: 07/02/2008 5:20:32 PM Pacific Standard Time http://jp.youtube.com/watch?v=SZk7VtbgE7A 子供のミスではないですよ あと2週間待ちましょう。 たまには音楽 送信 小百合より
件名:たまには、こういう曲もいいですよね。
\(^Д^)/ギャハハハハ。。。 日付: Fri, 08 Feb 2008 11:36:55 (日本時間)
http://jp.youtube.com/watch?v=SZk7VtbgE7A
> 子供のミスではないですよ うん、うん、うん。。。 僕はブロードバンドでネットをやっていないのですよ。 小百合さんは、このような曲を聴いて癒されているのかああぁ~ ヽ(´ー`)ノ 上の歌を聴いて、なぜか、あのPROJECT Xの主題歌を思い出しました。 僕は、ああいうのが好きですよ。 ところで、今日の『小百合物語』は、おとといの続きですよ。
実は、昨日もレンゲさんと『愛と性のファンタジー』の中で 僕は知らなかったのですが、原作を書いたエマニエル・アルサンはフランス人の女性ではないのですよね。 写真を見たら、中国系のタイ人ですよう! そう言う訳で改めて、このアルサン女史に興味を持ちました。 小百合さんも時間があったら、ぜひ読んでくださいね。 by デンマン それで、今日はアルサン女史のことを書くのでござ~♪~ますか? そうですよ。小百合さんにも上のメールの中で、そう言ってしまいましたからね。うへへへへ。。。 あたくしも、タイ人の女性が『エマニエル夫人』を書いたとは思いませんでしたわ。 そうでしょう?あのポスターを見たら、誰だって原作者がフランス人だと思ってしまうでしょうね。主演のシルビア・クリステルがオランダ人だから、中にはオランダ人だと思っている人が居るかもしれません。でもねぇ、東洋人が、あの原作を書いたとは、多分ほとんどの人が気づいていないと思いますよ。それで、僕はアルサン女史の事について書こうと思い立ったのですよ。
エマニエル・アルサン
(Emmanuelle Arsan) 1940年に生まれる。 作品は、オランダ出身の女優、シルビア・クリステルの主演で映画化(「エマニエル夫人」)され、シリーズとして3作品作られ、その後数多くのリメイクが作られた。 その後の作品でも一貫して、男女の愛のかたちのさまざまを追求している。 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 このウィキペディアの経歴も、注意して読まないとアルサン女史がタイ人であることを読み飛ばしてしまいますよ。 でも、それだけアルサン女史がフランス人化していた、と言うことでござ~♪~ますわね。 そうですよ。確かにその通りなんですよ。アルサン女史はフランス人の外交官と16歳で結婚していますからね。しかもフランス人コミュニティのサロンにも参加していた。フランス文化にどっぷりとつかっていたようですよ。 フランスの文学作品にも親しんでいたのでしょうね? とにかく、フランス語で作品を書くぐらいですからね、フランス人と同じか、それ以上にフランス文化の洗礼を受けていますよ。だから、ジューンさんも次のように書いていましたよ。
こんにちは。ジューンです。
お元気ですか?
『エマニエル夫人』の原作をたどってゆくと
『O嬢の物語』に行き着くのですよね。
原題はHistoire d'Oで、フランスの中編小説です。
今ではサド・マゾヒズム小説の代名詞となっています。
1954年にジャン=ジャック・ポーヴェール書店から
売り出されました。
作者はポーリーヌ・レアージュと言う女性です。
でも、作者が誰なのか良く分からなかったのですよね。
1994年にやっと分かりました。
ドミニク・オーリーが自分が作者であると名乗り出たのです。
物語では、女流ファッション写真家のOは、
ある日恋人ルネにとある城館へ連れて来られ、
複数の男の共有性的玩弄物になるように、
鞭打やその他肉体を蹂躙する手段で
心身共に調教されるのです。
このあたりの発想が老紳士マリオを生み出し
彼がエマニエル夫人を調教して行く。
そのようにも見て取れます。
ところで、デンマンさんがレンゲさんの記事を集めて
一つにまとめました。
もし、レンゲさんの記事をまとめて読みたいならば、
次のリンクをクリックしてくださいね。
アルサン女史も10代のうちに、この作品を読んでいるはずですよ。当時、『O嬢の物語』はセンセーションを巻き起こしていましたからね。 デンマンさんも読んだのでござ~♪~ますか? 僕はフランス語では読まなかったけれど、1970年代、大学生の頃、日本語で読みましたよ。 どうでござ~♪~ました。 実は、僕は本屋で立ち読みしたのですよ。うしししし。。。フランスでセンセーションを巻き起こしたから、すごいのかと思ったのですよ。 そうしたら。。。? 確かに、すごいのだけれど、その“すごさ”が僕が予想していたエロスのすごさじゃなかったのですよ。 どう言う事でござ~♪~ますか? その“すごさ”というのはサディズム・マゾヒズムのすごさなんですよ。僕はサド・マゾには、ほとんど興味が無いのですよ。僕にとってサド・マゾは甘美なエロスじゃなくて、おぞましいアンチ・エロスなんですよ。だから、僕は本を半分も読まずに買う気がなくなりました。 つまり、デンマンさんにとって、『O嬢の物語』はつまらなかったのでござ~♪~ますわね? 実に下らないと思いましたね。 でも、『エマニエル夫人』は良かったのですか? 『O嬢の物語』の映画は見なかったけれど、原作品の内容を比べた時に、『エマニエル夫人』の方が僕の趣味に合っていましたよ。 『エマニエル夫人』の映画は、どうでござ~♪~ました? 感動はしなかったけれど、映像と音楽の詩的ファンタジーとして、観るだけの値打ちがあったと思いましたね。 それで小百合さんの投げかけた疑問でござ~♪~ますけれど、デンマンさんが一昨日説明した上の解釈とは別のものがあるのですか? ありますよ。アルサンがタイで生まれた中国系のタイ人であるということが分かって僕にはエマニエルが老紳士マリオに尋ねた意味が氷解したように思ったのですよ。 どう言う事ですか? つまり、アルサン女史は16歳でフランス人外交官と結婚した。フランス人コミュニティのサロンで認められるには、並大抵の苦労をしなければならなかったはずですよ。 どのような苦労ですか? だから、そのサロンの中ではアルサン女史はただ一人の東洋の女性なのですよ。そのサロンに出入りする東洋人と言えば召使いかメイドだけですよ。つまり、アルサン女史は常に“フランス人”にならなければならない宿命を負わされたようなものですよ。 それで。。。? “フランス人化する”という事は、すべての面でフランス的にならなければならない。。。もちろんフランス語に堪能にならなければならない。。。また、これまでの東洋の倫理や道徳から脱皮して新しい“性哲学”の洗礼も受けなければならない。つまり、物語の中のエマニエルはアルサン女史のあるがままの分身ですよ。老紳士マリオは、アルサン女史が理想としている分身ですよ。 。。。んで、上のデンマンさんの解釈はどうなるのでござ~♪~ますか? 次のようになるでしょうね。 私は外交官であるフランス人と16歳で結婚して以来、
フランス人になりきろうと努力してきました。
タイで生まれた中国系タイ人であることをやめたのです。
フランス人になるためならば、
苦労をいとわずに何でもしました。
フランス語をマスターして
『エマニエル』を書いたのもそのためでした。
でも、それだけでは十分とは思えませんでした。
本が世に出て映画化されたぐらいでは、
まだ私はフランス人になりきれた、
とは言えないと思ったのです。
それで、1975年には自作の小説を自ら脚本化し、
アニー・ベル主演で『卒業生』という映画を作りました。
私は、その映画の中でメガホンをとって監督を兼ね
ヌード出演までしました。
こうして、私はフランス人のペンネームを持ち、
フランス人になりきったつもりで頑張ってきたのです。
また、自ら求めた性哲学を実践してきたのでした。
身も心もフランス人になりきろうと努力してきたのです。
でも、私は本当にフランス人になりきれたと言えるでしょうか? 僕にはアルサン女史がフランス人になろうとして、上のような努力をした事が良く理解できますよ。僕自身、人生の半分以上を海外で暮らしてきましたからね。 つまり、エマニエル夫人がマリオに質問したのは、実は、アルサン女史自身が自分に問いかけた疑問だったのでござ~♪~ますか? そうですよ。どこまでフランス人になれば良いのか?当時のアルサン女史は、その事に疑問を感じていたのかもしれませんよ。 つまり、自分がフランス人でもないのにフランス人と結婚してフランス人のサロンに出入りして、好き嫌いにかかわらずフランス人にならなけらばならない宿命を負わされた。アルサン女史はそう感じたのでござ~♪~ますか? そうですよ。でもねぇ、自分がタイ人である事は絶対に消す事ができない事実ですよ。自分のアイデンティティーはどこにあるのだろうか?エマニエル夫人がマリオに投げかけた疑問は、身も心もフランス人になりきったつもりのアルサン女史の不安だったのではないだろうか?今の僕には、そう思えるのですよ。
【卑弥子の独り言】
アルサン女史が16歳でフランス人の外交官と結婚したとき ところで、小百合さんがタイに行ったのは、『エマニエル夫人』の映画を観たからでしょうか? また、あさって読みに戻ってきてくださいね。
ィ~ハァ~♪~! メチャ面白い、
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こんにちは。ジューンです。
わたしも『エマニエル夫人』の原作を書いた
エマニエル・アルサン女史が
フランス人だとばかり思っていました。
ところで、アルサン女史はローマの古典にも詳しいようです。
なぜならば、初めの章「飛翔する一角獣」の
エピグラフがオヴィデウスの『愛の術』だからです。
『愛の術』と日本語に訳されていますが、
アルス・アマトリアは、普通『愛の技法』と訳されている
ローマの詩人オヴィデウスの作品です。
オヴィデウスはギリシャ・ローマ神話に題材をとった
散文詩『変身(転身)物語』を残した詩人でした。
この物語の中では、
人間の女がギリシャ・ローマの神々に愛され、
神々と交わり、その愛の中で植物や、
動物に変身してゆきます。
それは、貞淑な若妻エマニエルが性経験を通して
変身してゆく物語と実に良く似ています。
変身してゆく過程で、
アルサン女史の中で愛は性と同義になります。
慎み深い16歳の東洋の少女が、
フランス人外交官と結婚し、
やがて女優となります。それでも飽き足らずに、
性哲学を『エマニエル』の中で
結実させて作家になります。
愛と性の表現者として自らのヌードまでも
映画の中で公開します。
まさに「変身物語」なのです。
この発想はローマの古典から
影響を受けたのではないでしょうか?
ところで、デンマンさんが小百合さんの記事をまとめましたわ。
ぜひ、次のリンクをクリックして覗いてみてくださいね。
では、今日も一日楽しく愉快に
ネットサーフィンしましょうね。
じゃあね。
YouTube 動画
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