上の記事はCNNのニュースから抜書きしたものです。Paparazzi （パパラッツィ）　という言葉は、以前から使われていましたが、この事故をきっかけに、 もともとイタリヤ語のこの言葉が急にニュースの前面に出るようになったのです。

上の記事の中では、paparazzo　（paparazzi の単数形）　は、金儲けを目当てに、 有名人の後を追いかけるフォトジャーナリストという意味で使われている。 こうしたパパラッツィのなかには、ダイアナ皇太妃（正式には、ウエールズ皇太子妃）の後を、しつこく追いかけて、それで喰っている者も居るほどで、 彼女は、このような、たちの悪い追跡に遭うと、コケにされているように感じて、時には癇癪を起こして怒鳴り散らしたこともある。こういうことがあるために、 彼女は、何の理由もなく嫌な思いをする羽目になると愚痴をこぼすことが多かった。

ダイアナさんは、このようなパパラッツィを毛嫌いしていた。というのも、彼らは、彼女が、ケンジントン宮殿で、目を覚ます頃には、たいてい外で待ち構えていたからだ。 彼女が、お気に入りのハーバー・クラブというジムに行くときにも、彼らはクラブの外で待ち構えていた。そして写真を撮るときには、クラブの壁に梯子を立てかけて、 それに上って取り捲るのだった。そうでなければ、彼らは、クラブの向かいのアパートメントに陣取って、そこから写真を撮るのだった。そんな時にはアパートの住人に嫌がられない様に、 前もって４０ポンドほどを渡しておくことを忘れなかった。

とにかく、有名人の写真に対する需要というのはすごい。ダイアナさんの写真となると、喉から手を出すほどに欲しがる人が居る。 そんなわけだから、もし パパラッツィが、その筋からダイアナさんのニューヨーク行きでもかぎつけると、早速、次の便に乗る。そして着くや否や彼女の後を追いかけるのだった。 ダイアナさん専門のパパラッツィになると、ほぼ、すべての彼女のバケーションに、金魚の糞のように、ついて回ることになる、スイスでスキーをするときも、 バーバドスで日光浴を楽しむときも、あるいは、スペインのホテルで友達と一緒にのんびりと週末を過ごすときも、彼らは付きまとうのだった。 もちろん、ダイアナさんの気持ちなどお構いなしだ。

ダイアナさんにとって、こういう輩は、ブンブンうるさく付きまとうハエや蚊と全く同じだった。しかし、 すべてのパパラッツィがダイアナさんを追いかけるというわけではない。あるパパラッツィは、ケネディー大統領の息子を専門に追いかけ、 また、ある者はデミ・ムーアが専門。そしてまたある者は、有名スターや、誰であれ、とにかく金になるような人物なら誰でもいいから、 片っ端から追いかける。

要するに、パパラッツィは人を選ばない。雑誌社やタブロイド版専門の新聞社の編集者が金さえ払ってくれるなら、誰でもいい。 追いかけまくって金をもうけるだけだ。 このパパラッツィ（個人的には、私の知らない人だけれど）は、 ショーシャナ・ロンシュタイン（ファッション・デザイナー）を追いかけ、 下のような写真を撮って、金をもうけたのだった。

有名人を追いかけて写真を撮り、それで喰ってゆくというのは、何も今になって始まったわけではない。昔にも、有名人や、うわさのカップルを追いかけて 写真を撮り、それで食っていた連中が居た。例えば、マリア・カラスと造船王オナシスを追いかけて撮った写真がその例だ。

それで、いつパパラッツィという言葉は、英語に入ったの？

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1960年, イタリヤの映画監督、フェデリコ・フェリーニが、国際的に人気の出た、La Dolce Vita（イタリヤ語で、甘い人生）　という題名の映画の中で パパラッツィという言葉を使ったのが、始まりということになっている。

この映画には、人に厄介をかけ、嫌われ者の、フリーランスのジャーナリストが出てくる。 監督は、特に、マルチェロ・マストロヤンニの演ずる、生活にやつれたジャーナリストとウオルター・サンテッソが演ずる同僚のフォト・ジャーナリスト （Paparazzo）に焦点を当てている。

この Paparazzo　という言葉の語源については、学者が論争しているのだけれど、 擬声語的な類似点から、シシリア語で、馬鹿でかい蚊を意味する、 papataceo　と関係があるらしい。 ブンブンと人の周りにやってきて、わずらわしい点で、確かに両者の意味はよく似ている。

監督のフェリー二はかつて言ったものだ。 「Paparazzo というのは、僕にとって、ぶんぶんとうるさく飛び回り、 人にたかっては刺して血を吸い、また飛び去って行く蚊を連想させるんだ。」　また彼は、吸血鬼のようでもあり、 昆虫のようでもある、骨のない人間のようなものを、連想して描いたこともある。 Paparazzi　は、確かに蚊と同様、 人にたかって喰ってゆく寄生虫に違いない。

イタリヤで初めて映画が封切られてから、paparazziという単語は、 スターを執拗に追い掛け回して喰ってゆくフォト・ジャーナリストと同意語として使われるようになった。

Paparazzi が英語に入ったのは La Dolce Vita が1961年にアメリカで封切られてからだ。 週刊誌のTime が “Paparazzi on the Prowl（獲物を追いかけるパパラッツィ）”　という記事の中で、その単語をアメリカに紹介したのが初めてだった。 その記事の中には、ローマを訪れたある皇女の車を、群れを成す記者たちが、進路を妨害している、 パパラッツィがとったパパラッツィの写真が掲載されていた。

有名人の後を追い掛け回し、至近距離でカメラのフラッシュをたいて、それで食っている 貪欲な狼の群れのようなフリーランスのフォトジャーナリストを記事は紹介している。 パパラッツィという言葉は、それからまもなく、全世界に広がってゆき、主要な新聞雑誌にも使われるようになった。 その言葉と共に、センセーショナルなスターの写真が載るのが、あたりまえになった。

このような傾向の週刊誌には次のようなものがある。Esquire, Cosmopolitan, それに Life といったような週刊誌だ。それからまもなくパパラッツィという単語はテレビでも取り上げられるようになった。　 たとえば、ニュースを主体とした人気番組の 60 Minutes　にもパパラッツィが顔を出すようになった。そんなときには、たいてい、有名人の尻を追い掛け回す 下種っぽい意味で使われるのがふつうだ。

• Aristotle Onassis Biography
  
  
• Gemstone File (which describes Onassis and his involvement in several conspiracies)
  
  
• Modern Phaedra (Depicting Maria Callas and Alexander Onassis?)