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分かっているようで分からない
歴史の中の不思議 貞操帯はいつから使われたの?
by June Adams
August 19, 2003
下着の奥の金銀細工の妖しい装飾
ヴィーナスの帯とも呼ばれていますが、貞操帯は、そもそも嫉妬深いヨーロッパ中世の男たちが、妻の 浮気を防ぐために考案したものです。一般的には貞操帯は中世の十字軍時代より存在したと言われています。 聖地に赴く騎士が長く家を留守にする時、妻や愛人が他の男と交渉を持つのを防ぐために考えたというわけです。 しかし、この十字軍伝説は史実のごまかしで、証拠になる資料は全くないという研究者もいます。 また、ある研究者は、貞操帯は純潔を守るために、あるいは強姦対策のために女性が自発的に着用し始めたと主張しています。 遠征中の兵隊が町に滞在する時とか、あるいは女性が長い旅行をするときに強姦にあうのを防ぐためだというわけです。 しかし、女性の立場からすれば、先ずそのようなことは考えられません。このような不便なものを女性が考え出すわけがないというのが私の考えです。 つけたりはずしたりするのが面倒くさいし、第一つけている間は、さぞかし不快だったことでしょう。 また別の研究者は、貞操帯の考案は1400年代のイタリア人、マントヴァ侯フランチェスコ二世(1466-1519)であると主張しています。 まずイタリアで著しく普及し、 続いてフランスに伝播したと言います。なぜ華麗な装飾が施されたかというと、長期間留守番をしなければならない妻のために、 宝石や象眼細工による華美な装飾をほどこして、主人が貞操を守られることを祈願しつつ妻にプレゼントしたというわけです。 いずれにしても、中世の十字軍時代より使われたことは確かなようです。 この貞操帯というのは、腰を取り巻く帯の部分と、股間をおおう板の部分からできています。帯は弾力のある 金属製で、ビロードの柔らかい布でくるまれています。腰の回りの皮膚にふれるとき 不快感のないようにするためでしょう。 そして女性のいちばん大切なところを防備するための板は、金属、象牙、骨などで 作られ、それは小丘にぴったりと密着するようになっています。板には、自然の用を たす時のために、小さな穴があいており、また穴のまわりには鋭いギザギザがついて いて、そこに好奇心から指を差し入れようものなら、その人は怪我をする仕掛けになっています。
この貞操帯には頑丈な錠がついていて、夫だけがその鍵をもっています。彼が戦いや 旅行に出かける時には、その錠を厳重にしめて、家をあとにするわけです。 上のドイツの版画は貞操帯をつけた妻とその夫、それに妻の愛人を描いたものです。 妻は貞操帯の鍵を愛人に渡しています。その一方で夫の大きながま口からお金をくすねようとしています。 このように貞操帯を付けさせられたら、妻もそのぐらいのことをしかねないということを風刺したのかもしれません。 いずれにしても、これは女性蔑視のけしからぬ道具です。帯をつけっぱなしにしていたら、さぞ かし不潔だろうと思わずにはいられません。お風呂に入るときにはどうしたのだろう と、つい気になってしまいます。 中部ヨーロッパのある町で、20世紀初め、由緒ある教会の庭を堀り起こしてい たら、敷石の下からボロボロに腐敗した木の棺が出てきました。蓋を取ると、豪奢なダ マスク織りの衣装を着た、身分高い貴婦人のミイラが出てきたというのです。衣服は空気 にふれると、忽ち風化して、風にちってしまったそうです。その下には繊細なレースのペ ティコートをつけており、それをはぎ取れば、彼女のもっとも奥深い部分が白日の もとに現れるにちがいないと、発掘者たちは期待に息をこらしたかもしれません。 ところがそこに現れたのは、貞操帯だったのです。恥骨の上に幅10センチくらい の金具があり、骨盤を取り巻く細帯もありました。浮き彫りの金銀細工をほどこした、 見事なものだったそうです。 おそらくこの貴婦人が死んだ時、夫は彼女の死体に貞操帯をはめて、棺のなかに 納めたのでしょう。死んだあとまでも、妻の浮気を心配するとは、なんと嫉妬深い男 でしょうか。もしかすると、死んでまでも、夫に嫉妬の念を抱かせるほど魅力 的な女性だったのかもしれません。
貞操帯を身に着けさせられた妻の愛人が誇らしそうに裸になっていますがなぜだか分かりますか?
答えは、マウスを漫画の上に持ってゆくとファイルの内容の説明として現れます。
貞操帯が必要だったのはおそらくこの人でしょう。
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