メドゥーサ
メドゥーサは少女の頃アテナが嫉妬するほどきれいでした。
彼女の美しさは当然のことながらポセイドンの関心を引きつけることになり、ある日アテナの神殿で
メドゥーサはポセイドンに抱かれたのでした。
神殿で性愛行為に及ぶということは非道もいいところで、
このためアテナは激怒してメドゥーサを醜いゴルゴンに変えてしまったのです。
ゴルゴンの他の女たちは不死身ですが、メドゥーサは、もともと人間に生まれついたので、ゴルゴンになってからも不死身にはなれずに、
いつかは死ななければならない身でした。しかし、
これだけの罰では、まだウサが晴れなかったのか、アテナはその後ペルセウスがメドゥーサを探し出して殺すのを手助けしたのでした。
ペルセウスが彼女の頭部を断ち切った時に、ペガサスとクリュサオール(ポセイドンを父とする彼女の子供)が、血がほとばしり出るようにして生まれたのでした。
彼女の血はリビア砂漠に流れ落ち、それが蛇に変わったのです。後に、これらのヘビの一匹がモプサスを殺したのでした。
ペルセウスが彼女の頭を持って去った後、アテナはメドゥーサの残りの遺体を引き受けました。
そして遺体から皮を剥ぎ取ってそれを彼女のトレードマークでもある胸部を保護するプレートに作り変えたのです。
遺体から2滴の血を採ると彼女はそれをエリクトニオス王のところへ持ってゆきました。そしてアテナは言いました。
「この一滴は病気を治すためのもの、そしてもう一滴は猛毒です」
アテナ (ミネルバ)
アテナはゼウスの娘でした。彼女はゼウスの額から甲冑を身にまとい、成人した姿で生まれてきたのです。そんなわけで母親はいません。猛烈かつ勇敢で、
彼女はアテネを守るために戦いました。そしてアテネの女神になりました。
アテナはトランペット、フルート、ポット、熊手、鋤、クビキ(ヨーク)、船および戦車、それに馬を慣らすことを可能にした、おもがい・ハミ・手綱を発明しました。
彼女は知恵、理性および純潔のシンボルになったのです。
アテナはゼウスのお気に入りの子供でした。そんなわけでゼウスは、彼女に雷と電光(サンダー・ボルト)を含む彼の武器を使わせたのでした。
オリーブは彼女の木になりました、また、フクロウは彼女の鳥になりました。そして、彼女は未婚の女神であり続けたのです。
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クリュサオール
クリュサオールは、メドゥーサとポセイドンが悪運の下で結ばれた結果として生まれました。彼はメドゥーサの頭がペルセウスによって切り落とされた時に、
メドゥーサから生まれたのでした。クリュサオールについては、ほとんど知られていませんが、勇敢な戦士だったと考えられています。
彼の名前は「金色の剣」と言う意味です。彼はゲリュオンの父となりました。クリュサオールはどのような外見を持っていたのかよく分かっていませんが、
彼の家族を見回すとき、おそらく獰猛な印象を与えたと思われます。
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エリクトニオス王
エリクトニオス王(「地球から生まれた厄介者」と言う意味)はアテネの神話上の王であり、プロクリス、クレウサ、パンドラスの父親でした。
彼はヘパイストスとガイアの間に生まれました。アポロドロスによれば、ヘパイストスは、アテナをレープしようとしましたが、その望みを果たすことが出来ませんでした。
彼の精液は空しく地面に滴(したた)り落ちたのでした。こうして「母なる大地」であるガイアを受胎させることになったのです。この結果として生まれたのがエリクトニオスです。
しかし、ガイアは乳児のエリクトニオスを望みませんでした。それで、この赤ん坊をアテナにやってしまったのです。
アポロドロス
紀元前2世紀のアテネの学者。古代の詩人・文人の作品を素材とし、天地創造から神々の系譜、
英雄たちの事跡を包括的に記述した『ギリシア神話』は彼の著作とされていましたが、実際は後1世紀頃の編纂になるもので、
アポロドロスのものではない、というのが現在の通説です。
アテナは3人の姉妹(ハース、パンドロサスとアグラウラス)に小さな箱を与えて、それを絶対に開けないように言いました。
しかし、アグラウラスとハースは、小箱を開けてしまいました。その中には将来アテネの王になる赤ん坊のエリクトニオスが入っていたのです。
その姿を見たとたんハースとアグラウラスは気が狂ってしまい、アクロポリスの崖から身投げして死んでしまったのです。しかたなくアテナはエリクトニオスを彼女自身で育てました。
別の説によると、上の物語は次のように伝えられています:
アテナはアクロポリスへ山を持ってこようとしてパレナ(Pallena)へ出かけたのでした。その留守の間にパンドロサスを除いた二人の姉妹が箱を開けたのです。
カラスがその様子を目撃しました。そしてすぐに飛んでいって、アテナに知らせたのです。アテナはそれを聞いて激怒しました。そして山を落としたのでした。
その山が現在のリカベトス(Lykabettos)山です。ハースとアグラウラスは気が狂い、アクロポリスの崖から身を投げて死んだのです。
エリクトニオスはその後アテネの王になりました。アテネの文化へ多くの貢献をしたのでした。その間中、アテナは彼を守りました。
彼はアテナを讃(たた)えてパンアテナのお祭りを創設しました。また、彼はアテネの人々に馬にどうやってクビキをかけるかを教え、それを使ってどうやって戦車を引くかを教え、
かつまた銀を鉱石から取り出すことを教え、鋤で土地を耕(たがや)すことも教えました。
エリクトニオスは、エレウシスとアテネの戦争の時にトラキアのヒマラドスを殺しました。その報復としてポセイドン(別の説ではゼウス)が彼を殺したのです。
彼は人間の頭をもったヘビの姿をしていたと言われることがありますが、それは、ヘビが彼のシンボルだったからでしょう。
それから、エリクトニオスはケクロプスと同一人物であるという人も居れば、ケクロプスはエリクトニオスの息子だと言う人も居ます。
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ゴルゴン
この3人の女性モンスターは、髪の毛がすべてヘビという怪物です。彼女たちの顔は非常に醜く見えたので、彼らの顔を見た人は石になってしまったほどです。
不思議なことには、この3人のモンスターは異なる生い立ちを持っています。ステンノとエウリュアレはフォルキスとケトからうまれ不死身でしたが、
メドゥーサはそうではありませんでした。
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モプサス
モプサス(「子牛」という意味)は、
男49人女1人(アタランテ)からなるアルゴノーツ(アルゴ号乗組員)の二人の予言者の一人です。
彼らは、金の羊毛を探し出すために、トロイ戦争が始まる前の時代にアルゴ号で海に乗り出していったのでした。
この航海の物語から、ユダヤ人はアブラハムがアイザックを犠牲にしようとした物語を思いついたのだという人たちが居ます。
もう一人の予言者はイドモン(「知っている」という意味)でした。 アポロとアステリア(別の説ではキレネ)の息子です。
モプサスは鳥たちの話し言葉を理解することが出来ました。アルゴノーツがアークトンで天候の関係で航海を続けることが出来ないでいる時、
一匹のカワセミがイアソンの頭の上でしばし舞い、それからアルゴ号の船首の上に止まりました。そこで、カワセミは、モプサスが理解できる言葉でメッセージをさえずったのです。
モプサスはギリシャ北方のテッサリアからやって来たラピス人だといわれています。アマゾンの女戦士たちが小アジアからヨーロッパにやってきたときの
トラキアの王でした。彼の父親はアムピカスですが母親は無名のニンフです。
スキタイ人のシピラスの支援によってモプサスはアマゾン侵略者を破り、一騎討ちで女王のミリネを殺しました。しかし、
この話は、アポロン信者たちが、後ででっち上げた作り話かもしれません。なぜなら、
彼らはテッサリアの巫女と彼女たちの男性の信者であるケンタウルスたちの権力を無視しようとしたかったからです。
このテッサリアの巫女さんたちは非常に強力で不思議な力を持っていたのです。オルフェウスはそのうちの一人、アグラオニスの魔力によって殺されたと言われています。
アグラオニスは月を引き降ろしたことで有名になりました。
彼の実際の生い立ちや王位がどのようなものであれ、モプサスはカリュドンの猪狩りに参加出来る程、勇猛果敢な男だったようです。また、
ラピス人とケンタウルスとの戦いでは著しい活躍を見せました。モプサスはコルキスからの帰り、他のアルゴノーツと共にリビアでシルティスの浅い水域に乗り上げてしまいました。
彼はそこで、踵(かかと)を蛇にかまれて死んだのです。その蛇というのは、
ペルセウスがリビアの砂漠に行った時に、切り落としたメドゥーサの頭から流れ出た血液から生まれた毒蛇のうちの一匹でした。
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ペガサス
ペガサス(翼のある馬)は、メドゥーサとポセイドンが呪(のろ)われた運命の下で結ばれた結果として生まれました。
ペルセウスがメドゥーサの頭を切り取った時にメドゥーサから生まれたのです。ベレロフォンによって慣らされて、
ペガサスはキマエラ退治を含む彼の数々の冒険にベレロフォンの乗馬用の馬として使われたのです。
ベレロフォンがオリンパス山へ、ペガサスと共に飛んでゆこうとした時、ゼウスはペガサスからベレロフォンを振り落としたのです。ペガサスはそのまま飛んでゆきました。
そしてオリンパス山までたどり着いたのです。そこでペガサスは、ゼウスのために電光を運ぶために余生を送ったのでした。
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ペルセウス
ペルセウスはゼウスとダナエの息子でした。アテナの支援によって、彼はメドゥーサの首を切り、ポリデクテスの所へ頭をもって行ったのです。その道すがら、
ペルセウスは地獄のニンフ、グライアイ、それにアトラスと数々の冒険を行ったのです。彼はまた、アンドロメダを救出し、ペルスの父親になりました。
彼は母国のアルゴスへ戻り、円盤で偶然に彼の祖父(アクリシウス)を殺してしまいました。その後、彼は、ティリンスへ行き、
そこでティリンスの王であるメガペンテスと王国を交換したのです。ペルセウスがティリンスの近くに築いたミケーネ市国は彼の子孫によって統治されました。
ペルセウスとアンドロメダは死後、星座に姿を変えたのでした。
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ポセイドン (ネプチューン)
ポセイドンはゼウスの兄弟で、水夫によって広く崇拝される、海の君主になりました。彼はタイタン・オケアノスの孫娘であるアムフィトリテと結婚しました。
彼の武器は三つ叉の矛で、それは地球を揺さぶることが出来、どんな物も粉砕することができました。権力において彼は、
神の中でもゼウスについで2番目の地位を占めていました。海中に彼はすばらしい金色の宮殿を持っていました。
その洞穴は珊瑚や海の花で飾られ、燐光性の光で明るく輝いていました。ポセイドンは、イルカとタツノオトシゴによって引かれた戦車で動き回ったのです。
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